on 今週第二土曜日
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明日の朝は窓辺の鳥のさえずりで目が覚め、
最初に大きく背伸びをすると
煎れたてのコーヒーの香りが胸を一杯にする。
前の晩にしとしとと降っていた小雨はすっかり止んでいて、
目映いばかりの透き通った秋晴れの空が、ブラインドに映る
青のヒューで見て取れる。
一階では父親が毎日するように、バナナとコップ一杯の
ミルクをジューサーでブレンドしている音が聞こえる。
まるで時計仕掛けのその儀式は、平日のそれとは違った
軽快なブレンド音をかき立てる。
さらに耳を澄ますと、昨夜買われたばかりの厚切りのミルク食パンが、
じりじりじりと音を立てるオーブントースターの中で、
徐々にこんがり焼かれていく音すら聞こえてくる。
勢いよくぱちぱちとはじけるのは、落としたばかりのひんやりとした
卵とフライパンの間にしかれた油素子の競り合いはちあい。バターはそのすぐあと
フライパンの縁を、黄色い筋を残して滑り落ちていく。
一階の様子が食欲をたまらなくそそる中、僕はベッドシーツから
裸足の両足を出し、柔らかく、かつ濃密な絨毯の
上にそっとおく。一本一本の指で、しっかりと床を掴み、握っては
地球の感触を確かめるそんな瞬間。
タイムズ紙の週末特集をがさり、がさりと捲る父親はやっと目玉焼きに、
今までポルチー二茸入りのオムライスから目が離せなかった
母親は、クリームと砂糖を入れた、煎れたばかりのコーヒーマグを
手にとってゆっくりと彼の向かいに座る。今日のBGMは父親の選曲、
弾き手はジョンコルトレーン。
土曜日。



目を開けると、いつもの白い壁紙の天井が目に入ってくる。
豆電球スィッチの紐に取り付けられたニモ人形。
半開きの押し入れ。
はす向かいの日立製作所グランドの定刻チャイム。
目覚める場所は松本戸塚ご用邸。
所詮、自分の部屋、自分の「水族館内」だ。
全てがこじんまりとまとまって。


でも今日は今週第二土曜日。

全てが想像範囲外になり得、
全てが自分のおもうがままに。

今日は今週第二土曜日。
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by eclipseted | 2006-09-17 01:42 | [発insights想]
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