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on 4歳の快挙
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どうやらホコリを掃除し忘れ続けた、
タンスの裏の角っこのような取り残された一カ所のごとく、
日記を放置していた。ははは。

「なぜ書くのをやめたか検証」

そもそも僕は物事を書くのにすごく時間がかかってしまうから、
なんとなく書かれているような書き込みでさえ、
結構な時間を費やしている。

ほぼ静止しているといってよいくらい、
動かない時間の中から、
まるで縁日の金魚すくいのように
ぴょいぴょいと(それもうまくいけばの話)
言葉を釣り上げて並べていくのが日記の作業内容。
時間浪費はやむを得ない。

さらに、自分以外のヒトが読んでくれる
(ありがとう)ともなれば
言葉遣いや内容にも多かれ少なかれ
気をつけるようになってしまう。

なぜか。
それはやはり自分が人一倍に
他人の目を気にしているからだろう。

これまでここまで育ってきて
自分のことをうまく説明することができない時は、
必ず他のヒトの自分に対する評価によって自分を格付けしてきた。
それはもう抜け出せないことだから、
いまさらどうこう意識改良することも、
それを弱みに思うこともないとしよう。そう。
とにかく見栄っぱりで、飾りたくて、目立ちたがり屋だから
結構質の悪い公開日記なんだろうな。

そういやぁ、昔はこんなことはなくて、
結構グレー色をした、恥ずかしがり屋だったような気がする。
幼稚園の毎年恒例の写真撮影の日や、
詩や音読の発表会なんぞ、晴れ舞台でとびきりのオシャレを
することをかたくなに拒んできたものだ。
周りのみんなは3、4歳にして、立派なバラ色の蝶ネクタイや、
流れる稲穂のような金髪をきっちりかっちり7・3分けにとかし、
満面の笑みをしっかりお披露目していた。ぱちぱち。
ところが僕と言えば顔は半泣き、髪の毛ぼさぼさ
まるで苦い虫を噛んだような表情がウリの写真だけを
家族アルバムに残すような、イタイイタイ子だった。イタイイタイ。

でもどこかである日それが変ったんだったよな。
自分でもうろ覚えなのだが、それは学校の裏庭の霊園で
徒競走の練習をしていた曇った日だったと思う。
その頃の自分は背も低く、終始鼻水を垂らしているような、
ちょっと鈍い子達の一員だったので
運動はとてもじゃないけれど
僕の専門領域外だった。
そう信じていたんだよね。
何回走っても負けるような徒競走しかしていなかったんだ。
しかしながら最後に走った一本だけ、50ヤードぐらいだったと思う、
その一本だけ、なぜかいつもと違ったんだよね。
走るにつれて周りの景色がやたらスローに流れ、
霧の中の雨粒が一滴、そしてまた一滴と
横に消えていくのすら確実に見えていた。
なぜだろうか、顔に当たる風がべちべち痛むぐらい。
そんなこんなで、不思議な心境でゴールインした僕は
明らかにこれまでとは違う速さを持っていた。

順位は6人中、5位。
これは、自転する地球が、回転速度を一瞬だけ速めるとか、
二輪の自転車が氷山を滑り降りる速度の世界記録を更新したとか、
プロマラソン選手が42.195kmを一時間41分で走りきるとか、
誰もが認めるイベント性がある記録更新なんかではない。
30人いるクラスメートの中で、僕が一位順位をあげようと
さげようと、クラスの誰一人として知ったこっちゃなかった。
メダルもなければ、"goog run, Ted"の一言もあるわけがない。
とある秋の午後、ニュージャージー州ウェーンにある小さな
ミショナリースクールの墓地のある校庭でただただ小さな、
それは本当に小さな
風が吹いただけのことだった。


しかしながら、

それは僕にとって
これまでかつてない
快挙であった。

そのネズミのくしゃみのような風は、
後に自分の人生の軌道を変えるのに必要な
力だけを兼ねそろえていたようだった。
そこから僕は今の自分に変身したのだったから。


まぁそんな変身がかれこれ19年程効力を保ち、
おかげで自分は今こんな質の悪い公開日記を書けているのだから、
よくわからないけれど、あの時のあの日に感謝しないと
いけないのだろうな。


そんなわけでちょっとの休憩を挟んで、日記を復活。
もっと自分にたくさんメッセージを残しておけ。
いつか再び読む時には絶対にがっかりしないからさ。
それだけは保証するよ。
by eclipseted | 2005-10-02 01:58 | [発insights想]
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