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on Yoko and Dartmouth
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18歳の妹を大学に送り出して来た。
末っ子であり、また二人の兄を持つ、
立場としてはロイアルストレートフラッシュ的な
無敵さを誇る長女が、初めて家元を離れて
カレッジに旅立つ。

親の仕事の関係で米国に渡り、
これまでずっとアメリカ人として育った彼女は、
昨日、夢にまで見たキャンパスを実際目の当たりにして
心の高揚を抑えきれていなかった。
もちろん人前ではそんな素振り一つ見せずに
クールに振る舞っていたのだろうけれど、
(これは自分や父親に似てしまった特質だ)
長年同じリビングルームで飛び跳ねて遊んだ
僕や、早朝の部活の練習から、
深夜のアルバイトの送り迎えをしていた
両親にはそんなもの見破れて当然だ。

最初の長女、最後の子供を送り出す両親の
決して埋めることはできない、
ぽっかりあいた空虚の159cmとは裏腹に、
彼女の目は終始キラキラしていた。
そしておそらく彼女と、一つ屋根の下で
一緒に過ごす最後の4日間は、我ながらおぼろげながらの
淋しさすら感じることになった。
なぜだろう。
たかが兄弟なのに。
とまぁ兄バカという言葉が仮にあったとすれば、
今まさにそれが似合う心境だろう。

一方で彼女の通うことになるダートマスカレッジ。
これは米国アイビーリーグ校の中でも極めて
人気のある私立大学。
毎年一台、メルセデス Eクラス。
ニューハンプシャー州という、本来スキーか
カヤックでもしないかぎりは絶対に足一歩踏み入れることが
ないだろうと思われるような、
まさに北国の州。
木と、そしてスキー場のために刈られた木々がなくなった
芝生しかない地方だ。
いや、これが好きで住みついている住人も何十万人と
いるだろうからあまりの誇張表現は控えるとして。

それはそれとして、
街全体がキャンパスとして機能し、
学生が自由闊達に行き交いあいながら
一緒に暮らすダートマス大学キャンパスの雰囲気は最高だ。
19世紀の赤煉瓦調の建物に囲まれた
青い芝生の上で、裸でフリズビーを投げ合う
それこそ表面的なアイヴィーリーグ光景も、
初めてルームメイトと交わす挨拶とハグも、
短艇部と法律勉強会の同時勧誘も然り。
全てが最初からアットホーム。

そんな歓迎を受ける五歳年下の妹の後ろ姿を見ながら、
大学を4年半やっている自分にとっては
もうそれはうらやましいと言える光景ではなくなったけれど、
でもなんとなくだけれど
もう少ししっかりと、
学生最後の4ヶ月を生きようと改めて約束する。

もう一度この先、学生として講堂に座ることが
ある可能性は否定できない。
ほら、なんでもありの世の中だから。
だけれどその時はまた、その時。
今は、また今。

妹よ。ぜひ、謳歌してくれ。
自分は大学五年生にして、新学期が楽しみだ。
by eclipseted | 2005-09-14 13:12 | [友people達]
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