on 3クリック先の隠れミノ
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数日前、もうすでに持て余し尽くした時間までもを
持て余してしまったので、米国一のオークションサイト、
ebayでフラフラすることに。
Arena, Benetton, Omega, Audi, Island, Ogilvy と
近頃気になっているキーワードや商品、値段(Islandなんてのが
その一例。どうやら時として島を売りたがる、そして買いたがるバイヤー
が存在するのだ。「0」がページ上に表示しきれないくらいの価格が、
ヘリコプターのフライオーバーかなにかで撮影された
孤島の上空写真のアイコンのとなりに、まるでふんぞり返っている
ように明記されている。
さらにこの島を買うメリットがキャッチーに記されていて、
"Buy your own Island. Be your own boss? That's so 80"s.
 Be your own king!"
[自分だけの島を買おう。自分がボスになる(自分のビジネスの、要は
独立することの自由さを表してる)?そんなのエイティーズだよ。
自分が王様になっちゃおうよ!] 
と、書かれている。
しかし島を購入したら王様になれるかといったら、
これはまた別の話だと思うのだがな。ちょうどTSUTAYAの
会員になれたとしても、未成年だったらAVはレンタルできない、とか
のように。なんかもっと主要手続きやら、法のかいくぐりとかが
あるのではないか。。)

を手当たり次第探し出し、
検索にかけていった。
するとBenettonのキーワードでヒットしたHOTという
オーデコロンを発見。最近のオークションサイトは至って便利で、
セリが始まる前段階で、入札者がいなければ、ある一定の
提示価格で商品を買うことが出来る。
セリが始まる前の、"BUY NOW" システムだ。

メリットは、その提示価格が定価よりも必ず安いこと。
セリで競うリスクを負わずに、購入できること、である。
ちょうど人間が安泰を求めてパートナーを選ぶのと似ている
気がする。
「彼はかっこよすぎるから、浮気されそう。
 だったらあまりぱっとしないけれど、
 同じぐらい気遣える彼がいいかも。」
あなたが冒険を好むか好まないかでこれはまた変るだろうが、
それは恋愛でも、競売でも共通して言える躍動感とか、
スリルとか、生き甲斐とか、挑戦とかだろう。

それはさておき、僕が見つけたのは、100mL 3.3ozのオーデコロンで、
"BUY NOW"価格が$2.95だった。
香水は家にはいくつかストックがあるし、
今のレパートリーにはおおいに満足している。

ところが破格でものを見つけた時の喜びや、
他の人に先を越されまいとして、ついつい
手を伸ばしてしまう、所有欲のようなものが働き、
"BUY NOW"ボタンをクリック。
さらに2、3立て続けにクリックを重ねて
画面を進んで行くと、購入済み、清算済み
そしてさらには配送済みの表示が。
驚く間もなく、所有欲は満たされる。



ここからが本題のような部分だが、
大人になるにつれて、少しずつ生活の不確定要素が、
自分の選り好みによってどんどん数を減らし、
自分の生活フォーマットができていっている。

何を言いたいかと言うと、すべて、身の回りのものが
自分の好んだ場所に落ち着き、必要な時にそこにあることで
生活を便利にしているということだ。

たとえば先ほどのクリック三つで配送済みが一例。
僕はクレジットカード番号も、配送先住所も、
配送保険加入登録もすでにしてある。
あとは自動清算が華の25日に行われ、
商品が届くのを待つだけだ(現にもう実家には
とどいているらしい)。

多少これらの生活安定は技術によって
支えられている面もあるし、ある程度の
事前登録などが必要。

しかしながら、技術面に頼らない、
生活を便利にしている小細工もある。
例えると、台所のシンクの上からぶらさがっている
包丁だ。包丁の柄の部分に穴があいていて、
それを上のラックに吊るすための、S字形をした
金具が通っている。
実践すると、
梨を食べる時には、それをシンクで洗い、
皮だけ包丁で剥くことになる。
ざらざらの表面を洗った後、目の前にぶら下がっている
包丁を手に取り、さくさく皮だけ削いでいく。
切り終わって(肝心の身までがごっそり
皮とともにもぎとられ、梨がじゃっかん
そのグラマーさを失った後)包丁をそのまま
シンクで水洗いをする。
包丁は拭きもせずに、またシンクの上のラックに
ぶらぶらぶらさがるために、S字形の金具にかけられて
ことは終了する。

僕は弟とともに生活をしているので、弟が
いかように包丁を使って調理するかは分からないが、
少なくとも自分がそれを使う時は、かぎりなく
短くて、無駄がない軌跡を追って包丁は動き、
そして使われていると断言できる。
包丁の毎日の動き、丁重な働きを見せる一生は
ほぼ、予測可能なのだ。


要は何が言いたいかと言うと、生きやすく、
活動しやすくするために、僕らは意識、無意識のうちに
身の回りをかぎりなく自分好みに「登録」しているということ。
パスネットはいつも右のポケットの一番奥に落ち着き,
帰宅した後の時計の定位置は明日の朝まで変ることなく、
サイトは「お気にいり」の最もアクセスしやすい
場所に設定し、
iPodは多少雨風にさらされても、操作のしやすさのために
鞄の外にへばりつかせる。
みんな生活のフォーマットが整っていった結果、
このような形、このような配置に定着していくのだ。

至極当たり前のことのようだが、敢えて言うのも悪くない。
なぜならそれは僕らの生活を楽にする努力であるとともに、
惰性の働きが見え隠れすることを意味するから。

もし今の生活の大部分が変ってしまったら、
クレジットカード番号がかわり、
携帯電話のメモリーが消え、
ポケットに穴が空き、
シンクの上のラックのねじがゆるみ、
地震で本棚が倒れ、かるく何百という
本がめっためたになぎだされ、
「お気に入り」がある時ゴミ箱で完全消去
されていたら。。

それこそ極めて神経を使う頭のギアの回転が、
今一度試される結果を及ぼす。
脳にとってはこの上ない訓練だと思う。
左手でトイレットペーパーをちぎったり、
毎回券売機でおつりの計算をすることも。

だけれど、それが何らかのきっかけによって
すべて一度に失われるよりも、日々少しずつ
自分の安泰を疑問視するべきなんだと思える。

最後に
「多忙は惰性の隠れ蓑」
という名言があるが、書いたことは少し
似通っていると思う。

忙しくしているからこそ、それを理由に
普段問うべき事柄を避けて通り、いかにも
自分がやるべきことをやっているかのように
感じる。 

「登録」することや、「フォーマット」化して
その作業に注力することも、それはそれで
頭を使うし、高等な作業だ。
しかしながらそれを隠れ蓑にすることで
自分が安泰しきった、平穏に身を委ねることほど
危惧されることはない。

"Be your own insurance broker. That's so 00s."だろう。
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by eclipseted | 2005-08-24 09:39 | [発insights想]
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