on bug's life
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序文:ガトリン

世界一って響きは悪くない。
全然悪くないよ、ガトリン君。
昨日の段階で世界で一番速く100mを走れる人間は
アメリカ人のジャスティン・ガトリンとなった。
これって昨日の段階で、彼は1/63億人という確率で
その地位を確実に確立したことになる。
いや、そもそも100m世界一に挑戦できる人の数も
限られているし、
それはさ、確かに世界中の人々が毎日5、6時間、血相を
変えてももあげやタイヤ引き、100mをダッシュ
することに時間を費やせば、ガトリンがその地位に
躍り出れた確率は下がったかもしれない。
しかしなんと言おうが、彼は1/6300000000
に昨日なった。

本文:イマイチ

僕は哲学者でもなんでもないし、なろうと思えばそれは
目をつむり、意識の扉から一歩下がった場所で深々しい
思想を巡らすことができる。
「私はだれ、」みたいな。

しかし僕の本職は哲学者ではない。

けれど、たまにakagi社のガツンとみかんをガリガリと
プール帰りに噛み砕きながら歩いている日など、自分の奇跡さ
にひとたび驚かされるようなことがある。
いや、正確に言うと、
「今現在ガリガリとアイスを口に加えながら、太陽の陽に当たれる
 こと"等の"境遇のよさ」に奇跡さを感じることがある。

そもそも137億年前に銀河系ができ、元素が核反応を起こしながらどんどんと
重元素から成る太陽系のようなものが作り上がったのは、偶然の巡り合わせ
としか言いようがない。
ましてや限りなく小さな誤差も許されることの
ない、地球のような球体や、まるで水や窒素、酸素や二酸化炭素の綿あめの
ような大気が生成されたことも、確率論的に不可能に近いはずだった。

はずだった。
(僕は180cmになるはずだった、みたいに)

それでもまだ奇跡の限界に挑戦しきれていなかったのか、
太陽光によって単細胞動物がひょんなとこから表れ、やがて
それを食す弱肉強食のみじんこちゃんたちの熾烈な争いが
始まり、(超熾烈だった)複雑な代謝を繰り返す動物たちが生まれた。

でもここはまだ序盤。
ふと水中よりも生きやすいかもしれない陸に上がる決意を
必然か偶然か、決意してしまったイタイ子たちがやがて
繁栄することになるのはもう既知である。

"good choice guys,"って感じだったね。

そこから奇跡はまだ続き、天変地異や異常気象などに影響されにくい
常温動物などが生まれ、やがて今日でも小学生達が互いに罵り合う
時のために酷使される「サル、ゴリラ、チンパンジー」達が
うろうろし始める。
そう。勿論絶滅していった、人間になりえる可能性をもった
動物達も他にもいた。

けれど、やっぱり火を起こして正解だったとおもうよ、僕は。

そんなこんなで、アダムとイブは知らないけれど、
互いに羞恥心を覚えたり、やっぱりあの猿人とうちは
ちょっと違うという識別意識が芽生えるようになった。

あっという間にホモサピエンス誕生だったんだよね。
それがいつのまにか、昔離れた海にもう一度、モノの試しに
もどってみる心がけなどによって、イカダのような道具が
発明され、ちょっとずつ頭でっかちになるに従って電気など開発
してしまい、電報や電線はたちまち空を飛んだ。

奇跡はまた奇跡を呼び、車は人力で走る必要がなくなり、
自由電子をビュンビュン飛ばすことで、ものの分子構造を
そのまま えいや、とプルプル振るわし、色々な有機物を変な箱の
中で「チン」して温めることも可能となった。
出版技術や記憶装置が開発され、物理的に見ることの
出来ない電子空間などを考案するほどにも育つことに
なったホモサピエンス。

そんな中で僕は生まれた。
いや、奇跡でしかない。
だって、健康な男性が一生の間、製造する精子の数は
1000000000000~2000000000000コ
と言われる。僕は兄弟が二人だから、
23年前にして、1999999999999を出し抜いて生まれた
生き物だったんだよね。
(妹は1999999999997を出し抜いた)
しかもそれだけじゃない。

2歳の時、もしかしたら蔓延していたインフルエンザにおかされず、
3歳の時、もしかしたらはびこっていた狂犬病持ちの犬にかまれず、
4歳の時、もしかしたらその頃多かった飛行機墜落事故などにまきこまれず、
7歳の時、もしかしたら迷ってしまったウォールマートとかで誘拐されず、
9歳の時、もしかしたら亡くなっていたかもしれない交通事故で亡くならず、
そして23歳の今日、もしかしたら頭痛と脱水症状と睡眠不足とめまいとで
そのまま溺れてしまったかもしれないプールで溺れずにすんだ。

今も生きている。
確率論的に言うと、137億年前に始まった宇宙の事を、今、
こうやって寝る前に顧みることのできる境遇で、奇跡中の奇跡中の奇跡
中のこれを100回くらい続けた奇跡なんだと思えてしょうがない。

しかもそんな奇跡的な自分は、ラッキーなことに「今」がすごく
好きだ。
「今」がいつも一番よい。
そんなのって、滅多にないよね。
だからオンリーワンとか、そういうのにもちょっと関連しているけれど、
自分もきっと1/63億を軽く超越してしまう、
「軽く、やばい」奇跡の一つなんだなと
つくづく思う今日この頃だ。

もう一度、
僕は
「今」がいつも一番よい。
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by eclipseted | 2005-08-09 00:36 | [発insights想]
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