on 17年来デビュー 14歳娘
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その彼女の今の称号は冒険家。

芝公園セレブであり、
茶髪であり、
モデルルッキングであり、
そして一女の母でもあるが、
昨日は冒険家だった。

「なにがなんだかまったく分からないけれど、今すごく楽しいんですよ〜」

と一声しながら 過去分詞 have gone
と闘う。彼女のしかめっ面から
 なぜ過去の一定期間外の時間の振る舞いに
 haveを使うんだ、
 haveって持つっていう意味じゃないのか。
という疑いの念が伺える。
そうだろうな。goの過去の姿wentも怪しい、
ましてやgoneなんぞは未踏の地だろう。

それでも彼女は120分目までには
「私はパリにはいったことがない」
までなんとか言えるようになる。

「まったく、なに言っていいのか分からないけれど、
 本当に本当に楽しいんですよ。」

俺はしめしめと。

彼女にとっては17年ぶりの英語の学習、
いわゆるもはや使われることのない、
「外国語の授業」(第二、第三が課される時代なので)
以来、初めてのデビューだという。

「娘が今年の夏、カナダに留学するんです。
 だから私もついていったほうがよいと
 思って。けど英語は本当に久しぶりなんです。」

「かなり熱心ですね。。
 娘さん、いや、お嬢さんはおいくつなんですか?」

「娘は今年14なんです。でも私は17年ぶり
 の英語だから、ちっとも分からなくて〜
 娘が言っていることだけでも理解したくて、
 英語とり始めたんです。今日。」

(ひぃ、ふぅみぃ。。やっつ、ここのつ。。)
マッチ棒がまつ毛に乗る
(しかも二本ずつ!)
このおねえさんは年齢不詳。

だから余計に冒険家に写ったんだろう。
20年前、夫の仕事の関係で海外へ一緒に繰り出す
妻達は、それは相当の覚悟で日本を離れることになった。
そして幸も不幸も未知との遭遇が必ずと言ってよい程
待っていた。
うちの場合は幸い、未知とのソーグッドだった。
(お茶目で強烈なキャッチコピーだった)

だが今の時世、娘の短期留学のために妻達ががんばる。
体を張って have eaten caviar とhave never eaten caviar との
違いを学んでいる。
少しでも自分の子供の言っていることを理解するために、
遅ればせながらのデビューを果たす人々。それはエクスペディション以外
何ものでもない。
そんな人々が「分からないけれどすごく楽しい」
なんて言う。
「何がなんだか分からないけれど、すごく楽しいこと」
ってそう簡単にはないだろう。

デート中にどのパスタを食べるか迷った時も、
ブランコで靴飛ばししていた時も、
図画工作できもい粘土細工の"Volgar"を作って褒められた時も、
圧倒的にボールをゴールに叩き込んで圧勝した時も、
がんがん花火を発射させて身の危険を感じた時も、
楽しかった。

楽しいけれど何がなんだか分からなかったことは一度もない。
そんな体験 俄然あこがれるのは俺だけか。


それが冒険というものなんだろう。
何がなんだか分からないけれど、すごく楽しい、って。
そんなことを感じられる人がいる間、
俺は職にあぶれることはない。
自信を持って、
分からないを分かるに変え、
楽しいをまだまだ楽しいで維持させていくことができるから。

それを自分の冒険にできるかどうかは、また別の問題だ。
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by eclipseted | 2005-07-03 11:27 | [発insights想]
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