いつからか
泣きたい時に泣けなくなってた
声量なんて関係ないところで
しゃくり上げてはむせ返り、異様に
規則正しい痙攣に身をまかせて
せめてその一時だけでも
泣き声とともにそっとしておいてほしい
うずくまったまま 鼻水としょっぱい涙に濡れた
シャツをどう洗濯機の中にしのびこませるか
心配するのも そろそろ止めないと、明日の
三時間目までははれぼったくい一重の目と
つきあわないといけなくなるとか考えるのも
声をこらえて泣く方が よほど崇高な泣き方
なのだろうと自負するのも
全部ふくめて ただひたすら泣く
-そろそろ声を出してもよいかな
僕ははたと我にかえり、かすかだが確かな声の方向へふりかえった
体育座りをしながらアスファルトの凹凸を
一つ一つ数えるかのようにして
じっと一点を見つめている彼がそうつぶやいた気がした
- もう少しの我慢だよ
僕は心の中でそう答えた
アスファルトにもうじき 小さな穴があくこともしらずに